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『根付師 陽佳』、ときどき「湖蝶」、ところにより「桃生蛙子」

根付作品を中心に篆刻作品や書作品を自分で撮った記録写真とともに紹介しております。

Category :  根付師「陽佳」
tag : 

“ 柄杓と蝸牛(カタツムリ)” をモチーフにした
差し根付「雨あがり」

実はすでに2014年にこのブログにて紹介しておりますが、
作品写真が暗くとても見づらい画像でした。


最近ようやく自分でデジタル現像ができるようになりましたので、
改めて現像し直した画像で改めて再紹介させていただきます。


©️ 2011 陽佳 YOKA Mukaida「雨あがり」1-274.jpg

DATA
『雨あがり』2011
鹿角(象嵌:鮑貝)
天然染料(ヤシャ染め)
3.2 × 14.9 cm
〜 個人蔵 〜


寺社仏閣の手水舎(てみずや)の片隅に
置き忘れられ
朽ちかけた柄杓


雨上がりでたっぷり水分を含んだその柄杓に
大小のカタツムリが遊んでいる…
そんな様子を
差し根付に閉じ込めてみました

©️ 2011 陽佳 YOKA Mukaida「雨あがり」1-275.jpg



柄杓の柄と合(ごう)の裏に
貼りついてる紫陽花の花びらが、
しっとりとした雨上がりの風情を
かもしだし、

柄杓の置かれている
空間と
季節感を
想像させてくれます

©️ 2011 陽佳 YOKA Mukaida「雨あがり」1-240.jpg

©️ 2011 陽佳 YOKA Mukaida「雨あがり」1-260.jpg





鹿角の鬆(す)の部分を利用することで
朽ちかけた柄杓がよりリアルに!

©️ 2011 陽佳 YOKA Mukaida「雨あがり」1-265.jpg


柄杓の柄と合(ごう)と呼ばれる
水をすくう曲げわっぱの部分は、
一見
別々に作って差し込んでいるように見えますが、
これは一本の鹿の角から繋げて彫り出しているのです


©️ 2011 陽佳 YOKA Mukaida「雨あがり」1-267.jpg



そして
鬆の部分との境目を上手く使うことで
カタツムリ本体の
あの柔らかい独特の質感と
殻の硬質な質感の差を
彫りと天然染料の染めのみで
表現しています

©️ 2011 陽佳 YOKA Mukaida「雨あがり」1-263.jpg

©️ 2011 陽佳 YOKA Mukaida「雨あがり」1-264.jpg


材料取りの段階で、
鬆(す)の大きな穴を利用した “ 朽ち穴 ” が
紐通し穴となるように彫っているので、
紐を通しても通さなくても
どちらも違和感ないのかと


©️ 2011 陽佳 YOKA Mukaida「雨あがり」1-273.jpg




◆色々な作品についての制作余話などがnoteの記事にてお楽しみいただけます

noteのページへはこちらからどうぞ

根付師 陽佳 YOKA Mukaida
note.com/netsuke_artist/



※このWebサイトで使われている画像などの転載をを禁止します
Reproduction is prohibited.










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Category :  根付師「陽佳」
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美しい日本の四季を
「根付」
で表現してみようと…



水ぬるむ春、
櫻の花びらが舞い降りる池の鯉を
掌で愛でる
根付にしました

©️ 2006 陽佳 YOKA Mukaida「櫻鯉」1-207.jpg

DATA
春の池『 櫻鯉 』2006
象牙
象嵌:鼈甲・金箔・夜光貝
ヤシャ染め
 3.0 × 5.5 × 1.7 cm
〜 京都清宗根付館 所蔵 〜



©️ 2006 陽佳 YOKA Mukaida「櫻鯉」1-205.jpg

全身に見事な鱗をもつ真鯉



©️ 2006 陽佳 YOKA Mukaida「櫻鯉」1-208.jpg

たくわえる髭もまた立派です

©️ 2006 陽佳 YOKA Mukaida「櫻鯉」1-216.jpg

楽しくて夢中になって彫った鱗の数、
ざっと数えると
約300枚はあるようです



©️ 2006 陽佳 YOKA Mukaida「櫻鯉」1-213.jpg

背びれには一枚の櫻の花びらを
夜光貝を切り出して象嵌することで、
池に浮かんでいる花びらをその身に纏う

「櫻鯉」

を表しています



「根付」は腰の帯に引っ掛けて使う
すべり止め(ストッパー)なので、
帯の上でクルンと跳ね上がるような姿で留まるよう
紐穴を開けていますが


身につけてない時も楽しめるよう
しぶき立つ水紋をイメージした台座を作り、
水面に跳ね上がった鯉の躍動感あふれる姿を
色々な角度から眺めることが♪
©️ 2006 陽佳 YOKA Mukaida「櫻鯉」1-209.jpg

水紋の台座にも、夜光貝で櫻の花びらを象嵌することで、


©️ 2006 陽佳 YOKA Mukaida「櫻鯉」1-212.jpg



©️ 2006 陽佳 YOKA Mukaida「櫻鯉」1-210.jpg

鯉の背びれの花びらとともに
春の池のイメージを一層際立たせています



2006年当時はまだ画素数の低いカメラしか持ってなかった上に、撮影も本当に下手で数枚しか記録写真が撮れていないのですが、データーをパソコンに取り込みデジタル現像できるようになったので、何とかここまでみれるレベルにできました。
他にまだ数枚画像が残っているのですが、そちらもデジタル現像しnoteの記事にアップする予定です。




◆色々な作品についての制作余話などはnoteの記事にてお楽しみいただけます
noteのページへはこちらからどうぞ


根付師 陽佳 YOKA Mukaida
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子供の頃から「金魚」好きです


小さい頃、
夜店の金魚掬いで掬った金魚は
家の水槽の中で驚くほど大きくなりましたが、
美しい紅色はそのままに
育ってくれていた記憶があります


長方形の水槽でしたので、
丸いガラスの金魚鉢の中で
ゆらゆらと尾ひれを漂わせている
金魚の姿に
あこがれがあり、
その姿のイメージ(妄想?)をカタチにしたのが
この根付


©️2015陽佳「恋する金魚」1-147.jpg

DATA
『恋する金魚』2015
鹿角
天然染料仕上げ:茜染め、ヤシャ染め
象嵌:鼈甲、金箔、ヘゴ、白蝶貝
5.2 × 2.4 × 2.5 cm
〜個人所蔵〜

すずらんの花を逆さまにしたような
丸いガラスの鉢の水底で
ほおづえをつき
水面を見上げて物思いにふける
長い尾鰭の
美しい紅色の金魚



©️2015陽佳「恋する金魚」1-171.jpg


©️2015陽佳「恋する金魚」1-168.jpg


長い尾びれだけを水中にゆらゆらと漂わせる可憐な
“ 恋大き金魚 ” です


©️2015陽佳「恋する金魚」1-169.jpg


限られた材料の幅の中で、
水中に漂う尾びれの浮遊感を
根付としての強度を保持しつつ
どれだけ表現できるかが
この作品の課題でした

©️2015陽佳「恋する金魚」1-173.jpg


金魚のフォルムの邪魔をしないような
自然な空間を生かした紐通し穴になっています

©️2015陽佳「恋する金魚」1-167.jpg


金魚鉢の外の世界に恋焦がれているのか、
それともガラス越しに見える何かに憧れているのか、
上目遣いに水面を見上げるその姿に
様々な想像が広がるかと


©️2015陽佳「恋する金魚」1-174.jpg

根付は四方八方どこから見ても
味わいがあるように彫刻を施されているのが
醍醐味の一つでもありますので、
お腹も鱗ビッシリです

果たして何枚の鱗を彫ったのか
うっかり忘れて数えておかなかったのですが、
鱗彫り好きとしては至福のモチーフです


©️2015陽佳「恋する金魚」1-175.jpg

金箔貼りの目玉がキラキラと水底で輝きます


根付師になってからかれこれ二十数年、
いくつもの“金魚の根付”を創っておりますが、
振り返ってみますと
「鹿の角」で創った金魚は
今のところこの作品一体かと


©️2015陽佳「恋する金魚」1-176.jpg

久しく金魚を彫ってないので、
この記事を書きながら
また鹿角で金魚を創りたくなってしまいました


◆スマホで撮った制作過程の画像は note の記事に投稿しておりますので、よろしければそちらもご覧くださいませ。

noteへはこちらから入れます
note.com/netsuke_artist/








Category :  根付師「陽佳」
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2月22日は「猫の日」

ということで猫の根付を探してみました

©️ 2007 陽佳 YOKA Mukaida 1-93.jpg 


DATA
『露西亜碧』2007
象牙
ヤシャ染め・ヤマモモ染め
象嵌:アワビ貝
サイズ:未記録
〜 個人所蔵 〜


かれこれ14年前にロシアンブルーの仔猫を
とのご依頼で創った根付です
©️ 2007 陽佳 YOKA Mukaida 1-86.jpg 


200705池袋西武:露西亜碧 009 


短毛でフワッとした毛並みの質感を
彫りと染めで表現しています
©️ 2007 陽佳 YOKA Mukaida 1-94.jpg 



見る角度によって
オッドアイになるよう
工夫して嵌めんだ貝象嵌
200705池袋西武:露西亜碧 009  


足の下には、
ボロボロになったネズミのぬいぐるみが…
©️ 2007 陽佳 YOKA Mukaida 1-90.jpg 

©️ 2007 陽佳 YOKA Mukaida 1-89.jpg 


仔猫の愛らしさと、いたずらっ子の眼差し、
そしてロシアンブルーの気品を
ギュッと詰め込んでみた根付です。


ロシアンブルー特有の毛色を染めで表現するのに苦労いたしました
( 苦労話はまたnoteに書き留めたいと思います)

◆14年前はまだデジカメの画素数も低い上に、小さい根付にピントも上手く合わせられず紹介できるような記録写真があまりないのが残念です。

noteへはこちらから
note.com/netsuke_artist/

 

二月三日の節分
(2021年は2月2日となります)

彼にとって
それは一年で一番「気重」な日

 
©️ 2016 陽佳 YOKA Mukaida 1-31.jpg 
『鬼の根付』2016
黄楊
ヤシャ染め
3.2 ✖️ 3.3 ✖️ 3.0 cm
〜内山コレクション 蔵〜



粋な細身の革の煙草入れを

腰の帯に留め付けている

「鬼の根付」



普段はじっと動かずに

その重要任務をこなしている彼ですが

実は誰も見ていないところでは

背中の紐の届く範囲で意外と自由に動いていたりするのです。



しかし今日は煙草入れに座り込んで何やら思案げな様子…

©️ 2016 陽佳 YOKA Mukaida1-16.jpg 

©️ 2016 陽佳 YOKA Mukaida 1-20.jpg 

©️ 2016 陽佳 YOKA Mukaida 1-21.jpg 
©️ 2016 陽佳 YOKA Mukaida1-22.jpg 

©️ 2016 陽佳 YOKA Mukaida 23.jpg 

©️ 2016 陽佳 YOKA Mukaida 1-24.jpg 


豆を投げられるのが哀しくて、

〇〇年前に自ら「根付」に身を変えたものの、

やはりこの日が近づくとちょっと元気がなくなるようで…




と、そんな想像も楽しめる

「鬼の根付」の

根付です



©️ 2016 陽佳 YOKA Mukaida 1-27.jpg 

実際の紐穴はこちら


©️ 2016 陽佳 YOKA Mukaida 1-15.jpg 

“打ち出の小槌”と

“金棒”を

前飾りにあしらった煙草入れに

「鬼の根付」

そう、

「立身出世」を書いた

あの話を連想させる

とても縁起の良い “ 提げ物揃え ” の一員に

自分が加わっていることを

この鬼はまだ知らないのかもしれません



©️ 2016 陽佳 YOKA Mukaida1-14.jpg 



◆色々な作品についての詳しい解説や制作画像などの作品余話はnoteのページにてお楽しみいただけます。 
note開設いたしました!
こちらからnoteのページに入れます
根付師 陽佳 YOKA Mukaida
note.com/netsuke_artist/ 



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Reproduction is prohibited.





プロフィール

根付師 陽佳

Author:根付師 陽佳
            
現代根付を創っています。

地下室で根付を創っている時は
『 根付師 陽佳 』(ねつけし ようか)

ときどき
「 湖 蝶 」(こちょう)
     の名で書や篆刻を創り。

ところにより
「 桃生 蛙子 」(ものう あこ)
    の名で詩や文章を創ります。

心を込めて創った作品を、自ら撮った記録写真。

その画像とともに、作品解説や創作エピソードなど少しずつ綴っていきたいと思います。

◆国際根付彫刻会 会長

◆神戸芸術工科大学 大学院
非常勤講師

◆NHK文化センタ―講師

◆朝日カルチャーセンタ―講師

◆よみうりカルチャー講師

◆和小物ブランド
「小間物屋 徳右ェ門」主催

◆大学の書道科を卒業後、
某S化粧品会社宣伝部に就職、
脱サラして根付師に。

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ご訪問ありがとうございます!
かなりのIT音痴ながらも『ブログ作成入門書』を片手になんとか開設にこぎつけ少しずつ作品の写真を紹介しておりましたが、親の介護でここしばらく更新がストッップしておりました。
2年近くの介護ブランクで、ブログ作成手順をすっかり忘れてしまいましたが、振り出しに戻ったつもりで再びブログ入門書を片手に更新を再スタートさせていきたいと思いますので、何卒よろしくお願い申しあげます。

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