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「陽佳」の 装飾品
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カラヴァッジョの果物籠
のようなブローチを!
DATA
試作装飾品 『果物籠』 2007
象牙
象嵌あり(鼈甲、蝶貝)
ヤシャ染、茜染め、クチナシ
6.2 × 3.9 × 0.6 cm
~ 作者 所蔵 ~
今から8年前、
「カラヴァッジョの果物籠のようなブローチを作っていただけますか?」
という依頼がありました。
「カラヴァッジョの果物籠のようなブローチを作っていただけますか?」
という依頼がありました。
イタリアの鬼才とも呼ばれる画家 “ カラヴァッジョ ”
西洋絵画に心酔していた小学から中学生時代に観たカラヴァッジョの絵画、
印象的な人物像は思い出せても“果物籠”の映像は頭に浮かびませんでした。
慌てて画集をめくってみると
なるほど幾つもの果物籠が描かれています。
なるほど幾つもの果物籠が描かれています。
この果物籠の様々な果物を、
『天然染料のみ』
でいかに染め分けて表現するか!!
が自分自身の最大の課題
『天然染料のみ』
でいかに染め分けて表現するか!!
が自分自身の最大の課題
昔から使われている
ヤシャの実を煮出した染料液で染める
「ヤシャ染め」と、
茜という植物を使った
「茜染め(インド茜)」
などを媒染剤を使って組みあわせ、
それぞれの果物の微妙な色調を出していきます。
ヤシャの実を煮出した染料液で染める
「ヤシャ染め」と、
茜という植物を使った
「茜染め(インド茜)」
などを媒染剤を使って組みあわせ、
それぞれの果物の微妙な色調を出していきます。
リンゴの紅、無花果のエンジ、桃の質感、葡萄の実の紫、洋ナシの黄・・・
小さい葡萄の房を蝶貝で、
石榴の粒を鼈甲で、
リンゴと洋ナシの軸を鼈甲の黒でと、
ところどころに象嵌を嵌め込むことで華やかさを出しています。
カラヴァッジョのの果物籠は
何と言っても果物が入っているその“籠”の存在感かと・・・
何と言っても果物が入っているその“籠”の存在感かと・・・
約4mmの材料の厚みに
如何に質量感あるカゴの網目を彫刻するかが難しいところでした
如何に質量感あるカゴの網目を彫刻するかが難しいところでした
アクセサリーの試作品は、
褪色や摩耗の様子など経時変化確認できるよう、
できる限り自分で使うようにしています。
今回のご依頼はブローチでしたが、
ペンダントトップとして使用できるように鎖を通す穴も開けましたので、
この試作品も鎖をつけて自分用のペンダントとして身に付けています。
ペンダントトップとして使用できるように鎖を通す穴も開けましたので、
この試作品も鎖をつけて自分用のペンダントとして身に付けています。
8年の月日が経ちましたが、
使うほどに色艶が増して味わいが出てきたような・・・
使うほどに色艶が増して味わいが出てきたような・・・
自分で収穫してきたヤシャの実
染料店で購入した様々な天然植物染料
アクセサリーはその形態によって、
身体や衣服などとの密着&摩擦具合が異なるので、
装飾品の依頼を頂いた時は必ず一度試作品を作り、
染めた箇所の擦れ具合などを確認してから
依頼品の製作にあたっています。
この時のご依頼は「ブローチ」でしたので、
肩にかけるバック類の肩紐との擦れと、
コート等上に着る衣類との摩擦による染色部分の摩耗が懸念され、
まずは試作品で確認しました。
肩にかけるバック類の肩紐との擦れと、
コート等上に着る衣類との摩擦による染色部分の摩耗が懸念され、
まずは試作品で確認しました。
試作の結果、
特に葡萄の房部分を濃い色で染めると、
摩擦で色剥げが目立つことがわかり、
最終品は葡萄をあえて染めずに
全体の色合いを工夫して仕上げました。
ご依頼品のブローチの画像はいずれまた・・・
特に葡萄の房部分を濃い色で染めると、
摩擦で色剥げが目立つことがわかり、
最終品は葡萄をあえて染めずに
全体の色合いを工夫して仕上げました。
ご依頼品のブローチの画像はいずれまた・・・
実用される装飾品は、耐久性や強度など配慮する点が多く、難しくもありますが、身に付けられるという張り合いがまた心地よい緊張感を生み楽しくもあります。
◆次回はひさびさに根付を・・・
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秋色の髪飾りを・・・
DATA
御髪飾 『龍田川』 2007
象牙
象嵌あり(白蝶貝)
茜染め
サイズ : 未記録
~ 個人蔵 ~
着物姿にはもちろん
洋装にも合う
“ 秋の髪飾り ” です
茜(インド茜)という植物の根を煮出した染料で、
コトコト煮詰め、深紅の紅葉を思わせる色に染めました
コトコト煮詰め、深紅の紅葉を思わせる色に染めました
表には重なり合うモミジの葉を
そして裏には
水の流れを表す「流水紋」 (りゅうすいもん)
を彫ることで
<古今和歌集の在原業平の詠んだ歌>
『 ちはやぶる 神世も聞かず 竜田川
からくれないに みずくくるとは 』
からくれないに みずくくるとは 』
のイメージを表現しています
自分自身、着物を良く着るので、結った髪に自分で創った髪飾りをさしています。
一番心配なのは、髪飾りがいつの間にか落ちてしまうこと・・・
全体のボリューム感を損なわぬ範囲でできる限り薄くし、そして櫛の歯にかえしをつけて、結った髪から落ちにくいよう色々工夫して創るのがまた楽しみでもあります。
◆次回もひきつづき、秋の装飾品・・・