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根付師「陽佳」
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江戸の“イケメン”の根付です。
浮世絵に登場しそうな色男の通人(つうじん)が、
自分の腰に提げている自慢の愛用煙草入れの上に横たわって
白昼夢を観ています。
自分の腰に提げている自慢の愛用煙草入れの上に横たわって
白昼夢を観ています。
DATA
『浮世の夢』 2011
象牙(象嵌なし)
象牙(象嵌なし)
ヤシャ染、べんがら
4.2 × 2.1 × 4.1cm
~京都清宗根付館 所蔵~
煙草入れは渋い通人(つうじん)好みの『爪菖蒲革』(つめしょうぶかわ)に
番傘の前飾り
番傘の前飾り
根付は高級な「箱枕」(はこまくら)
煙草入れの下には、“ぬしさまへ”と書かれた「結び文」がそっと隠されています
よく見ると煙草入れの上に横たわる男の腰には全く同じ箱枕の根付と煙草入れが
浮世絵には“枕絵”と呼ばれるものがあり、根付の箱枕も何か意味ありげです
不思議な笑みを浮かべて煙草入れに横たわる色男も
“枕絵”に登場する「豆男(真似えもん)」を連想させます
“枕絵”に登場する「豆男(真似えもん)」を連想させます
結び文は花魁?からか、・・・いろいろな想像膨らむ根付です
煙草入れ、提げ紐、緒締、根付、色男、結び文、
すべて一つの象牙の塊(かたまり)から彫りぬいています
すべて一つの象牙の塊(かたまり)から彫りぬいています
「ヤシャ染」という木の実を煮出してた天然染料で茶から黒まで染め分け、枕の赤と襦袢の赤は「べんがら」を使っています。
◆ 次回は・・・?? 思案中です。
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「湖蝶」&「陽佳」のコラボ作品
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蝉好き による 蝉好き のための 「蝉型蔵書印」
蝉の形に蔵書印の文字(篆書体)を嵌め込んだ作品。
蝉の羽の模様のように篆書文字を嵌め込み、
木 (一位)
象嵌あり(貝)
ヤシャ染・べんがら
印影 4.3 × 2.6 cm
篆刻・・・湖蝶 作
彫刻・・・陽佳 作
~個人蔵~
象嵌あり(貝)
ヤシャ染・べんがら
印影 4.3 × 2.6 cm
篆刻・・・湖蝶 作
彫刻・・・陽佳 作
~個人蔵~
蝉の鈕(ちゅう)はあえてザックリと刀跡を残すように彫り、
一位という木を“ヤシャ”という木の実を煮出した染料で染め、
濃淡を出しながら蝉の色調を表現しています。
もちろんモデルは 「ジロー」 です。◆ 次回は “ 江戸のイケメン? ” ・・・
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こぼれ話
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ジローに出会ったのは残暑厳しい9月初旬のある日、一目惚れであった。
照りつけるアスファルトの上、二三歩彼の横を通り過ぎたがすぐに引き返し、まじまじとその容姿を見つめてしまった。
抜群のプロモーション、嫌みのない色艶、文句のつけようが無かった。
実はその時すでに彼には先約がいたのだが、強引にそのライバルを振り払い、彼を奪い取って足早に帰宅した。
実はその時すでに彼には先約がいたのだが、強引にそのライバルを振り払い、彼を奪い取って足早に帰宅した。
凛々しい瞳、逞しい胸、すらりとシャープな手足、見れば見るほどうっとりしてしまうが、やはり先約が開けた穴がどうにも気になる。
一歩先にジローに近づいていたライバルが、その穴にまだ潜んでいるように思えてならない。
注意深く慎重にジローを揺すってみると、案の定ポロポロポロと黒い影が転がり出てきた。
この小さな穴の中に、かくも必死にしがみついていたライバルの、その根性を讃えながら丁重に戸外へ追い出したが、今思えばこのライバルが穴から中身を綺麗に持ち去ってくれたおかげで数年たった現在もジローの状態はすこぶる良好なのかもしれない。
一歩先にジローに近づいていたライバルが、その穴にまだ潜んでいるように思えてならない。
注意深く慎重にジローを揺すってみると、案の定ポロポロポロと黒い影が転がり出てきた。
この小さな穴の中に、かくも必死にしがみついていたライバルの、その根性を讃えながら丁重に戸外へ追い出したが、今思えばこのライバルが穴から中身を綺麗に持ち去ってくれたおかげで数年たった現在もジローの状態はすこぶる良好なのかもしれない。
その後何度か仕事のモデルをお願いするうち、いつの間にか『ジロー』という名がついていた。
どうして『ジロー』なのかは解らないが「タロー」や「サブロー」ではしっくりこない。
やはり『ジロー』なのである。
どうして『ジロー』なのかは解らないが「タロー」や「サブロー」ではしっくりこない。
やはり『ジロー』なのである。
地下室の仕事場の棚の上、チョコレートが入ってた丸い筒型の小さな透明ケースの中でジローは今日も出番を待っている。
●体長 五十八ミリ
●昆虫 カメムシ目(半翅目) ヨコバイ亜目(同翅亜目) セミ科
●学名 Graptopsaltria nigrofuscata
●職業 モデル
≪「ジロー」がモデルを務めた作品≫
吉田兼好の「徒然草」の冒頭
“ つれづれなるままに ひぐらしすずりにむかひて
こころにうかぶよしなしごとを そこはかとなくかきつくれば・・・”
の「ひぐらし」を→蝉の「蜩(ひぐらし)」にかけて、
兼好法師ならぬ「蝉」が文机の前に座り、
筆を片手に何かを書きつけようとしている様子を根付にしました。
“ つれづれなるままに ひぐらしすずりにむかひて
こころにうかぶよしなしごとを そこはかとなくかきつくれば・・・”
の「ひぐらし」を→蝉の「蜩(ひぐらし)」にかけて、
兼好法師ならぬ「蝉」が文机の前に座り、
筆を片手に何かを書きつけようとしている様子を根付にしました。
机上には、巻紙と茄子形の文鎮に桃形の水滴、そして硯と墨の文房四宝等が。
机の下には蝉が座っている円座や、積み重なる書物、そして巻物。
円座の中央の穴が“紐通し穴”です。
蝉はその特徴を生かしつつデフォルメしながら擬人化しています。
気が付いてみると、『ジロー』をモデルにした作品が多いのです・・・。
◆ 次回も おそらく 『ジロー』モデルの作品?
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根付師「陽佳」
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“くり貫きの一体”であたかも柄を差し込んで作ったように彫りぬいて、
鹿角の『鬆(す)』の部分の大きな穴を利用し、
古びた柄杓に空いた“穴”にしています。
古びた柄杓に空いた“穴”にしています。
◆モデル・・・巻が逆ですが、我が庭のカタツムリの「ツムちゃん」 殻の直径4cm ( 関東に多いヒダリマキマイマイ )
* 次回は・・・「湖蝶」の登場?
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根付師「陽佳」
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“柄杓と蝸牛(カタツムリ)”をモチーフにした差根付です。
DATA
『雨あがり』 2011
鹿角(象嵌あり:貝)
ヤシャ染
ヤシャ染
3.2×14.9cm
~個人蔵~
雨あがりの御手洗(みたらい)の朽ちかけた柄杓の上で遊ぶ二匹のカタツムリ。
大きいカタツムリは嬉しそうに柄杓の柄を歩んでいます。
*次回も 「 雨あがり 」つづきます。
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根付の豆知識
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「 根付(ねつけ)」は、着物文化の江戸時代に巾着や印籠(いんろう)や煙草入れなどを帯から紐(ひも)で提げて携帯するための滑り止めです。
実用的用途から生まれた「根付」は、帯から容易に取りはずして使えるという形態から、人目に触れる機会が多く、次第に様々な意匠の、凝った彫刻などを施したオシャレな装身具(おもに男性用)として発達し、幕末から明治期にかけて世界の美術コレクターの注目を集め収集された日本固有の美術工芸品で、洋服文化が発達し、日常的着物文化が失われた現代においては“実用的要素をかねそなえた美術品”として発展しつつあります。
◆江戸時代の風俗を描いた屏風絵や浮世絵などを注意深く観てみると、帯から“巾着”や“印籠”や“煙草入れ”などを提げた人物が描かれています。
さらにもっと注意深くみると、提げ紐の根元の帯の上に「根付」を発見できることがありますので、是非見つけてみてください。
実用的用途から生まれた「根付」は、帯から容易に取りはずして使えるという形態から、人目に触れる機会が多く、次第に様々な意匠の、凝った彫刻などを施したオシャレな装身具(おもに男性用)として発達し、幕末から明治期にかけて世界の美術コレクターの注目を集め収集された日本固有の美術工芸品で、洋服文化が発達し、日常的着物文化が失われた現代においては“実用的要素をかねそなえた美術品”として発展しつつあります。
◆江戸時代の風俗を描いた屏風絵や浮世絵などを注意深く観てみると、帯から“巾着”や“印籠”や“煙草入れ”などを提げた人物が描かれています。
さらにもっと注意深くみると、提げ紐の根元の帯の上に「根付」を発見できることがありますので、是非見つけてみてください。
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根付師「陽佳」
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ロックな根付です。
DATA
『ロック魂』 2009
象牙(象嵌あり:貝)
茜染&ヤシャ染
3.2×2.8cm
~個人蔵~
単純ですがロックと言えば“エレキギター”
象牙(象嵌あり:貝)
茜染&ヤシャ染
3.2×2.8cm
~個人蔵~
単純ですがロックと言えば“エレキギター”
特にどこのメーカーのギターというわけでなく、私の頭の中にある
“エレキギター”のイメージを形に。
かなりデフォルメしていますがパーツはそれなりに組み込みました。
(切り替えスイッチ、フレットマーカー、ハムベーカーピックアップ、ブリッジ、
出力ソケット、等)
“エレキギター”のイメージを形に。
かなりデフォルメしていますがパーツはそれなりに組み込みました。
(切り替えスイッチ、フレットマーカー、ハムベーカーピックアップ、ブリッジ、
出力ソケット、等)
音楽的才能ゼロで、まったく楽器の演奏はできませんが、楽器の持つ美しいフォルムを生かしながら根付にするのが楽しくて・・・。
* 『楽器シリーズ』 紹介はひとまず中断して、次回はおそらく “季節感のあるもの” をご紹介できるかと。
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根付師「陽佳」
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弦楽器は“棹”と呼ばれる細長いパーツがあるので、いかにその楽器本来のイメージを損なわずに、手のひらに収まるように丸くデフォルメするかが、勝負。
流れる馬のたて髪は、いつしか弦となり。
馬の口には弦を張って調整する“糸巻き”をくわえさせました。
たて髪と眼、ベルト部分の色は顔料を使わず天然染料の“ヤシャ“を使って染めだし、全体としてはマホガニーの持つ色調と素材感を生かして、楽器の持つ独特の重厚感を表現しています。
記録写真を整理してみて、意外に『楽器シリーズ』を創っていることに驚くと同時に、あの楽器も根付にしてみたい!この楽器はこうデフォルメしたら面白そう!と新たなアイデアが・・・あせらず急がずポリポリ励みます。
*次回もおそらく『楽器シリーズ』つづきます。