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こぼれ話
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「 いま欲しいもの? う~ん、ダイヤモンドヤスリかな。」
根付師の必需品、それは根付を彫る道具だが、これがまた、ただの道具でないから少々厄介とくる。
なぜならば自分で作らなければならないからだ。
象牙や鹿角、黄楊や黒檀などの硬い素材を彫るための「左刃(ひだりば)」は、特殊な彫刻刀なので、自分で鋼材を切って、焼いて、叩いてトンテンカンと、まるで鍛冶屋である。
師匠に道具作りを教えていただいた当初は悪戦苦闘の作業だったが、欲しい時に欲しい形の道具をいざ自分で作れるようになると、こんなに便利なことはなく、しかもこれが何とも楽しい・・・。
この道具作りに欠かせない必須アイテムが砥石とヤスリ。
ヤスリと一口に言ってもいろいろあるのだが、焼き入れをした硬い鋼材を削るには普通の金ヤスリでは歯が立たない。
そこで登場するのが 『 ダイヤモンドヤスリ 』 。
人口ダイヤモンドの粉末が塗布してあるヤスリの名称だが、これがなんとも優れもので一度使ったら手離せない。
しかも使うほどに色々な大きさや形のものが欲しくなってくる。もちろん消耗品でもあるので切れ味が落ちてくると買い換えるのだが、だんだんと高品質のものが欲しくなってきてしまう・・・。
“ ダイヤモンドの指輪 ” より、 「ダイヤモンドのヤスリ 」 が欲しい…○十○歳 今日この頃。。。
( ある女流根付師のひとり言より )
≪ダイヤモンドヤスリたち・・・≫
≪左刃をダイヤモンドで整える≫
≪左刃を砥石で研ぐ≫
※左刃の製作工程は後日あらためて。
≪数ある左刃の中から、使用頻度の高いメンバー≫
◆次回は・・・根付?
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根付師「陽佳」
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雅(みやび)な差根付&緒締(おじめ)のセットです
DATA
煙管筒型根付・緒締 揃 『 業平櫻 』
( きせるつつがたねつけ・おじめ そろえ 『なりひらざくら』 )
◎根付『櫻花無双煙管筒型差根付』
11 × 1.6 × 0.8 cm
鹿角
象嵌あり(夜光貝)
ヤシャ染
◎緒締『在原業平』(ありわらのなりひら)
3.0 × 1.7 × 1.6 cm
鹿角
象嵌なし
ヤシャ染
~ 高円宮コレクション ~
“ 世の中に 絶えて櫻のなかりせば
春の心はのどけからまし ”
(古今集第一巻)
この有名な在原業平の歌を、差根付と緒締で表現しました
江戸時代煙管(きせる)を携帯する際に入れる筒状の容器
「煙管筒(きせるつつ)」は
根付や煙草入れと並ぶオシャレな提げ物アイテムの一つでした。
木や竹、鹿の角や象牙などを筒状に加工し、
その表面には凝った彫刻や象嵌をほどこした見事な煙管筒は、
美術品として今も根付と同様に
世界中のコレクターの垂涎の的となっております。
その煙管筒に見立てた差根付を鹿の角を使って創りました。
実際の煙管筒は筒の部分と差し込む蓋の部分と
2つのパーツに分かれていますが、
この差根付は『見立て』ですので、
あたかも差し込んであるかのように一体で彫っています。
差し込みの蓋部分の表には、
歌の上の句 『 世の中にたえてさくらのなかせば 』
裏の部分には
下の句 『 はるの心はのどけからまし 』
下の句 『 はるの心はのどけからまし 』
が彫ってあります
筒の部分には、
櫻の花の枝がまるで象嵌をてるかのように、
立体感たっぷりに彫りだしてあり
そして舞い落ちる花びらを
“夜光貝(やこうがい)”を切り抜いて象嵌しています
緒締(おじめ)は、
まさにこの歌を詠んだ『在原業平』本人を同じ鹿の角から彫り出しました
まさにこの歌を詠んだ『在原業平』本人を同じ鹿の角から彫り出しました
もちろん、業平の着ている衣裳“狩衣(かりぎぬ)”は
≪業平菱(なりひらびし)≫という菱型の文様にしています。
お手元に百人一首がありましたら、ぜひ見てみてください、
業平の絵姿には好んでこの文様が使われていますので…。
業平の絵姿には好んでこの文様が使われていますので…。
根付と緒締とセットにすることで、さらに様々な情景や想像が膨らみます
◆次回・・・久々に「こぼれ話」?
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根付師「陽佳」
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おめでたい魚といえば、まず頭に浮かぶのが 「鯛」
DATA
『祝鯛』 2010
象牙
象嵌あり(鼈甲に金箔)
茜染め、ヤシャ染め
5.5 × 3.4 × 1.8 cm
~ 京都清宗根付館 蔵 ~
『祝鯛』 2010
象牙
象嵌あり(鼈甲に金箔)
茜染め、ヤシャ染め
5.5 × 3.4 × 1.8 cm
~ 京都清宗根付館 蔵 ~
商売繁盛の神でもある“恵比寿さま”も
大きな鯛を釣り上げる姿で描かれています。
大きな鯛を釣り上げる姿で描かれています。
また、古来中国でも「魚」はその発音が「余」と似ていることから、
“お金が余る”=“裕福になる”という意味ににつながり、
「魚」は吉祥のシンボルとして意匠や図案に好んで使われてきました。
“お金が余る”=“裕福になる”という意味ににつながり、
「魚」は吉祥のシンボルとして意匠や図案に好んで使われてきました。
そのうえ魚は「魚雁伝書(ぎょがんでんしょ)」という言葉からわかるように、
鳥と同様に古くから“手紙”を運ぶ生き物とされています。
鳥と同様に古くから“手紙”を運ぶ生き物とされています。
そこで、オメデタイ 「 鯛 」 くんに、お祝いの短冊を運んでもらったのですが、
ふと気づくと自分の体に 『 のし 』 が貼りついている・・・
『んっ、 あれっ?僕もお祝いなの・・・??』
彫ったウロコの数はだいたい600枚fぐらいかと・・・
『茜(あかね)』という植物の根を煮出した染料で赤く染めています
グラデーションに染めるのが、なかなか大変でした・・・
思わず胸ビレで『のし』を触って確認している様子です・・・(笑)
≪今回は彫り始める前段階をご紹介≫
イメージに合った「鯛」を魚屋さんで見つけて購入
資料写真を撮ると同時に、「鯛」のカタチを頭に入れるために
とにかく色々な角度からスケッチ
鯛の構造&カタチが頭と手に入ったところで、さあ一気に彫り始めます!
◆次回は・・・?
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根付師「陽佳」
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おめでたい根付です!
DATA
『祝鯛』 2010
象牙
象嵌あり(鼈甲に金箔)
茜染め、ヤシャ染め
5.5 × 3.4 × 1.8 cm
~ 京都清宗根付館 蔵 ~
『祝鯛』 2010
象牙
象嵌あり(鼈甲に金箔)
茜染め、ヤシャ染め
5.5 × 3.4 × 1.8 cm
~ 京都清宗根付館 蔵 ~
◆詳しくは次回に・・・