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『根付師 陽佳』、ときどき「湖蝶」、ところにより「桃生蛙子」

根付作品を中心に篆刻作品や書作品を自分で撮った記録写真とともに紹介しております。

Category :  根付師「陽佳」
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母のお位牌を創りました

生前に母と約束していたのです

「お母さんには、
オシャレで可愛くて、
ちょっと変わったお位牌を
創ってちょうだいね」
と。。。

© 陽佳 2016 お位牌DSC_3030.jpg 

母とは一緒に「小間物屋徳右ェ門」という
和小物ブランドを立ち上げて、
コラボ作品を創っておりましたので、
やはり母は
いつも何か縫い物をしていたイメージが。

そこで、
お位牌の土台となる部分を、
真っ黒な黒檀という木を使って
縫い物には欠かせない
『糸巻き』
をモチーフに形をつくり、

糸巻きの耳の上部には
絹糸の2文字と
その真ん中に「小間物屋徳右ェ門」の
ブランドロゴ“徳”マークを、

耳の下部には
母の名前を使った
架空の糸ブランド名
“YONEKO印”を
デザインして彫りこみ、
リアル感を出してみました。
© 陽佳 2016 お位牌DSC_3026.jpg  

もちろん巻いてある糸も
一本一本彫りだして、
最後はちゃんと耳の切り込みに挟んであります
© 陽佳 2016 お位牌DSC_2991.jpg 

ちなみに
このような状態から、
文字や糸を彫りこんでいきます
© 陽佳 2016 お位牌DSC_2978.jpg 
© 陽佳 2016 お位牌DSC_2977.jpg 



土台の糸巻きは
真っ黒で堅くツヤのある
「黒檀」を使い

真ん中の受けの部分には、
サディーネという
華やかな紅い色の木材を使って、
蓮の花弁のイメージの彫刻を施し

そして、札板の部分は、
やわらく暖かいピンク色の木材、
ピンクアイボリーを使って
組みあわせました
© 陽佳 2016 お位牌DSC_2974.jpg 


他にも仕事柄(根付や篆刻で使うので)
色々な風合いや色調の木材が手元にあるので、
どれをどこに配してどう組み合せるか、
かなり試行錯誤した末、
このバランスが
一番母のイメージにしっくりと!
© 陽佳 2016 お位牌DSC_2965.jpg 


大きさも女性用に
あえて少し小ぶりにしております


3つのパーツをそれぞれ成形して、
最後は接着して組み立てます

© 陽佳 2016 お位牌DSC_2964.jpg 


札板の文字は
和紙に何度も戒名を書き、
一番気に入った文字を選んでから彫りこみ、
金泥と金箔をさしていきました。

漆が扱えればよかったのですが、
あいにく漆はカブレてしまいますので…

© 陽佳 2016 お位牌DSC_2999.jpg 

戒名の上の梵字は
「夜光貝」を切り抜いて象嵌し、
落ち着いた華やかさを出しています。
ピンクアイボリーという木材は、
空気に触れると
経年変化で色が変わってきますので、
おそらくこの夜光貝の梵字が
先々とても活きてくるかと♪
© 陽佳 2016 お位牌DSC_2993.jpg 
© 陽佳 2016 お位牌DSC_3004.jpg 

そして最後に
出来上がった3つのパーツを
接着して組み上げ、
艶出しの磨きをかけて完成です。
この後、
四十九日の御法要で
御坊様に御霊入れをしていただいてから
お仏壇に安置いたしました。

思いのほか時間が掛かり
四十九日までに仕上がるか
ヒヤヒヤで。。。
© 陽佳 2016 お位牌DSC_3020.jpg 


お位牌をはじめて依頼されて創ったのは、かれこれもう8年前ぐらいでしょうか。
もともと書と篆刻は専門でしたので、それ以前にも墓石に刻む文字を書いて欲しいというご依頼などはありましたが、根付師になってからは、材料もあり、彫刻もでき、文字が書け、象嵌もできる・・・なるほどお位牌も創れるのだと。


最近はモダンなお位牌を好む方が増えてきたようです。
ただ、宗派などで決まり事もあるようですので、お位牌を創る際は、必ず事前に供養をしていただくお寺の御坊様に、色々細かく確認を取って調べてから作り始めます。

なお、ここに載せておりますお位牌の写真は、すべて『御霊入れ』の前に撮ったものでございますので、お位牌そのものはまだ中身の入っていない空っぽの入れ物の状態ですのでどうかご安心を。

とはいえ、さすがに人様のご依頼のお位牌の製作工程をブロブでご紹介することはとてもできませんが、何よりブログの記事を楽しみにしていた母ですので、自分の位牌がアップされ、きっととても喜んでいると思います。


◆次回は、久々に根付を・・・







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プロフィール

根付師 陽佳

Author:根付師 陽佳
            
現代根付を創っています。

地下室で根付を創っている時は
『 根付師 陽佳 』(ねつけし ようか)

ときどき
「 湖 蝶 」(こちょう)
     の名で書や篆刻を創り。

ところにより
「 桃生 蛙子 」(ものう あこ)
    の名で詩や文章を創ります。

心を込めて創った作品を、自ら撮った記録写真。

その画像とともに、作品解説や創作エピソードなど少しずつ綴っていきたいと思います。

◆国際根付彫刻会 会長

◆神戸芸術工科大学 大学院
非常勤講師

◆NHK文化センタ―講師

◆朝日カルチャーセンタ―講師

◆よみうりカルチャー講師

◆和小物ブランド
「小間物屋 徳右ェ門」主催

◆大学の書道科を卒業後、
某S化粧品会社宣伝部に就職、
脱サラして根付師に。

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ご訪問ありがとうございます!
かなりのIT音痴ながらも『ブログ作成入門書』を片手になんとか開設にこぎつけ少しずつ作品の写真を紹介しておりましたが、親の介護でここしばらく更新がストッップしておりました。
2年近くの介護ブランクで、ブログ作成手順をすっかり忘れてしまいましたが、振り出しに戻ったつもりで再びブログ入門書を片手に更新を再スタートさせていきたいと思いますので、何卒よろしくお願い申しあげます。

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